薬害を起こすのは、薬ではなく人だと言われています

1957年に、西ドイツでサリドマイドが開発されました。日本では大日本製薬(株)などから、サリドマイドを使った睡眠薬(商品名:イソミン)が発売され、のちに胃腸薬(商品名:プロバンM)が発売されました。

副作用がない夢の薬といわれたサリドマイドは、神経性胃炎として発売されていた胃腸薬を、悪阻を抑える薬として宣伝するようになりました。

胃腸薬を服用した妊婦から、次々と先天異常の赤ちゃんが産まれました。薬の副作用で血管新生が阻害され、身体、内臓、血管などあらゆるところに奇形や欠損が起こります。1,000~1,300人が副作用被害で亡くなったのではと言われています。

承認後に発覚した副作用だったとはいえ、そもそも医薬品に市場に出てから未知の副作用が出ることは想定内のことで、安全性の確保に十分に注力しなければならないのではと思います。

未知の副作用が出ていると何度も指摘されてからも、国や製薬会社は科学的なデータがないのは問題ないからだと、販売をやめようとはしませんでした。しかし、副作用に科学的な証拠というのは、副作用被害の蓄積以外ありません。サリドマイド被害者らは、非を認めない国や製薬会社に損害賠償を求め裁判を起こし、裁判で薬事行政の不備や製薬会社の不実でかつ不十分な対応が、被害を深刻にさせたと指摘され1974年に和解が成立しました。(1976年、台湾でも和解が成立しています)

裁判ではデータのねつ造や隠蔽、警告を無視して販売し続けた態度は、製薬会社の不実な態度が厳しく問われた最初の事件と今も言われています。

60年以上前の薬害事件にもかかわらず、常に代表的な薬害事件の筆頭に挙げられるのは、被害に遭った子どもの痛ましい姿が人々の記憶に深く残ったこともありますが、医薬品の副作用という概念を超える被害を起こした「人災」という領域に踏み込んだ被害だったと指摘されるからです。