サリドマイドシンポジウムにて
こんにちは。
私は、聴覚障害の河口智彦です。よろしくお願いします。
サリドマイドは、上腕から手先までの障害がとても多く、難聴を含む聴覚障害者もいることは案外知られていません。
私自身は、はっきりとした記憶ないのですが、5歳くらいに自分の耳がないことに気がつきました。
母の話を聞くと私は母の耳を握って耳がほしいというような動作をしたそうです。
耳が無いため、周りの人から見えないように母手作りの耳のカバーを紐で結び覆っていました。
自宅前の道は、通学路だったので行き交う小学生達に「あれはなんだ!」と馬鹿にされたり笑われたりして悔しい思いが積み重なっていったのを覚えています。
小学部5年生の頃、東京で全国のろう学校 P T A 総会があって、母が参加し、講演者の話を聞いて私の障害はもしかするとサリドマイドなのかも?と終了後に講演者からアドバイスをもらった。
その足で東京の病院に向かい、診察の結果、サリドマイドだと診断された。
生まれてから10年間も身体の障害の原因はわからないままだったのだがやっとここで判明したということになる。
サリドマイド薬の服用期間、また胎児の成長のどの段階で服用されたのか、で障害は異なった。
私の場合は、母が多分妊娠1ヶ月と7日から10日くらいの間に服用し、この時点では胎児の身長は4ミリから6ミリで、耳は生育しておらず、神経麻痺など影響を受けた。
寝るときも目はうっすら開いたままになってしまっている。
辛いものなど食べるとき、くしゃみをするとワニのようになってしまっている目から自然に涙が出てしまう。
きこえない者同士で必要不可欠な口話は唇を閉じることができないのでコミュニケーションが不十分なものになってしまう。 (他のきこえない人より重い言語障害を負っていることになる。 )
ほかに運転免許証の顔写真を撮るとき、口は閉じるように指示される。が、私は無理なことなので両手で口を挟んで歯を見せないようにするのだが、これからも一生、更新のたびことにこのような撮影をしなければなりません。
ほかにも食事の際に困ることは、口はすぼめることができずにスープを口の中に入れるときにこぼれてしまうこと。
唇を閉じて咀嚼するのはマナーだが口を閉じることが出来ないので食べ物をこぼすのは幼い子供のように日常的になっている。理解のある人としか食卓は囲めないことになる。
お茶や液体を口にするときは、コップの縁に舌を乗せ、こぼれないように工夫して飲んでいる。
歯磨きや歯科治療のときの口中を水でゆすぐ時は手を使って唇を両方からつまむようにして水を流し込むことにしている。
鼻の中は、普通の人から比べるとかなり狭いうえに曲がっているので口呼吸しかできません。
鼻毛の役割は、外気に含まれている汚物を防ぐ役割があるが私の場合は汚染された空気が口から直接入ってくるため肺疾患の恐れがあるのではと、とても心配している。
顔の神経が麻痺しているため、一生、笑顔の写真は撮ることはできないのだが、一つだけ願いが叶うならば笑顔の写真を撮ってみたい、ということと、私の顔に対する偏見がいつか無くなってほしいと強く願っています。


