8月22日の日本薬学教育学会大会でお話ししました。
日本薬学教育学会大会で30分のお時間をいただき、スピーチをさせていただきました。
会場が大阪医科薬科大学ということもあり、当初は学生さんが多く参加されるのかなと思い、これから薬剤師を目指す学生さんに向けた内容を準備していました。
薬学教育に携わっている先生方などが多く参加されていましたので、直前になって少し内容を変更しました。そのため、当初準備していたものとは少し体裁を変えたスピーチになりました。
今回、私が強く問題提起したかったのは、
「薬によって回復困難な健康被害が起きたとき、薬剤師をはじめとする医療者は、その患者にどこまで関わるのか」
ということです。
薬剤師の仕事は、患者が薬を飲むまでなのでしょうか。
薬を飲んだあと、副作用が出ているかどうかを確認するところまでなのでしょうか。
では、実際に重大な副作用や健康被害が起き、その影響がその後も残ってしまったら、医療はその患者にどう関わるのでしょうか。
サリドマイドがそうであるように、薬の影響によって身体に障害や回復困難な健康被害が残り、その後の人生をその影響とともに生きていかなければならない人たちがいます。
そして、これはサリドマイドだけの問題ではありません。
これまで日本で起きたさまざまな薬害では、多くの人が命を失い、また命は助かっても、薬による健康被害や障害、後遺症などを抱えながら、その後の長い人生を生きてきた人たちがいます。
薬害は、原因となった薬の使用を中止したときに終わるわけではありません。被害を受けた人にとっては、そこから先にも人生があります。
ところが、薬によって身体に大きな影響を受けた人の場合、その後に現れる健康問題が、既存の病気の枠組みでは十分に捉えられないことがあります。
誰が診るのか。
どの診療科が受け止めるのか。
医師や薬剤師をはじめとする医療者が、どのように連携して支えるのか。
そして国は、どのような診療体制を整えるのか。
私は、こうした「薬害のその後」を支える医療の仕組みが十分につくられていないこと自体が、現在の大きな問題であると指摘しました。
医療の現場では、薬を使う前には、安全性や有効性について検討し、患者の状態を確認し、リスクをできるだけ適切に管理するためのさまざまな対策が講じられています。薬剤師も、薬の専門家としてその重要な役割を担っています。
それならば、実際に薬によって回復困難な健康被害が生じた後についても、医療は正面から向き合うべきです。
薬を中止したら終わりではありません。
副作用を報告したら終わりでもありません。
被害を受けた患者の人生は、その後も続きます。
薬剤師はどこまで関わるのか。医師はどこまで関わるのか。医療全体としてどう支えるのか。そして、一つの医療機関だけでは対応できない問題について、国はどのような仕組みをつくるのか。
そこまで含めて、薬による健康被害に対する医療の責任として考え、実際の仕組みにつなげていく必要がある。
22日は、薬害の当事者として、そのことを薬学教育に携わる皆さんにお伝えしました。
薬害は、過去の事件ではありません。
被害を受けた人が生きている限り、その人の身体と人生の中では続いています。
だからこそ、「薬の安全性」や「患者に寄り添う医療」を語るのであれば、薬を使う前の安全対策だけではなく、薬によって人生を大きく変えられた人たちの「その後」を、医療がどう支えていくのか。
そこまでを医療の問題として、きちんと向き合ってほしい。
今回のスピーチでは、そのことを強くお話ししました。


